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シェルゼレポート 北欧癒しの医療環境の旅 Inフィンランド
北欧癒しの医療環境の旅 Inフィンランド
フィンランドの夜景リビング・サービス・システム(L.S.S.)が新たに提供する「24時間無料医療相談サービス」および「コミュニケーション形成サービス」の一環として、居住者の方々に医療セミナーの開催を開始するにあたり、LSS事業部の杉本が癒しの医療環境フィンランド視察研修に参加しました。フィンランドの医療事情について講義を受け、現場を視察してきましたのでご紹介いたします。
なお、当社の医療顧問をしていただく、日本医科大学准教授 医学博士 高柳和江先生に同道していただきました。
研修期間:2007年6月23日~7月1日
訪問先:フィンランド
「当社医療顧問 高柳和江先生のプロフィール」
神戸大学医学部をご卒業の後、順天堂大学外科専攻生、徳島大学大学院医学博士課程を修了。アイオワ大学医学部大学院で医療管理学を学ばれた後、1992年から日本医科大学で日本初の医療管理学教室の准教授として活躍されておられます。
医療に「癒し」を取り入れ、友人のパッチアダムス氏(ロビンウイリアムス主演の映画で有名)と共に著書を出される等、人間の視点で医療を見直す、新しい風を医学会に吹き込んでおられます
フィンランドの医療事情
フィンランド ヘルシンキの街並みフィンランドは、国土の4分の1が北極圏に含まれ、日本とほぼ同じ国土面積に対し、人口は25分の1の国です。厳しい自然環境と少ない人口密度の中で生き残るために、創意工夫を重ねてきた国であり、産業構造の転換と共に、合理的で協力的な社会づくりに成功した国です。特に、非都市部では簡単に医療を受けるアクセスに乏しく、近年発達した情報通信技術を用いた遠隔医療が充実してきました。
商工業で莫大な富を築いた商人ヨハン・セーデルホルム1722-1805)が1757年にヘルシンキ中心街に建てた、現存する最古の建物最近の健康問題は、アレルギー、糖尿病、高齢者対策、自殺、薬物使用者の急増などです。医療サービス提供体制については、地方分権が進み、各市町村が住民の疾病予防と健康増進を支援することを明言し、基本的な医療サービスの提供を行っています。
フィンランドでは、Primary Care(プライマリケア)法が施行され、国内にHealth Center(保健センター)を設置して、主に一次医療を行っています。一次医療は、基本サービス(健康診断、母子保健、予防接種等)の他、一般外来診療を含みます。この保健センターと民間診療所で一次医療が行われているのです。
患者は、先ず保健センターや診療所で医師の診断を受け、必要に応じて専門医療を提供する病院へ紹介されるシステムになっています。初診の段階で専門病院を受診することはできません。
自然環境が厳しく人口密度が低いため、医療機関へのアクセス、救急車の到着、搬送等に極めて長時間を必要とすることから、遠隔医療が積極的に活用されるようになりました。救急システム、携帯電話からの予約システム、あるいは、医師にかかる前に電話やメールでコールセンターに受診相談をして、無駄な医療費を省く取組みが行われています。多くの病院で、電子カルテによる情報のセントラライズが進んでいます。また、健康サービスのサウナやアロマセラピー等の利用も盛んです。
フィンランドの病院「癒しの環境」
トゥルク大学中央病院で年間3万5千人以上の入院患者を収容し、入院期間は平均在院日数4.5日と短期間で、24時間体制のノンストップ病院です。全体の89%の患者が1週間で退院し、50%の患者は4日で退院をしています。
トゥルク大学中央病院ガラスの屋根で覆って外光が直接入るように設計されている
病院は、厳しい北欧の気象をやわらげるため、3つの建物をガラスの屋根で覆って外光が直接入るように設計されており、病院全体が外光に囲まれて明るく気持の良い環境でした。病棟の廊下の壁面も明るく、数々の大きな絵画が飾られています。芸術家協会から借用した2点と地域の現代デザインアーチストから購入した作品約100点が常設展示されており、気持ちを和ませる雰囲気です。病室は広く、窓はベットに休んだまま屋外の風景を眺められるように低く、患者の気持ちを考慮した設計となっています。
トゥルク大学中央病院廊下の壁面に飾られている絵画
コールセンターMawell社を視察
コールセンターサービスによる疾病管理で有名なのは、疾病管理会社が民間保険会社と契約し、その利用者に電話をかけて健康増進や受診のアドバイスなどを行うことで、利用者の健康管理に寄与し医療費の削減を行っていくというアメリカの仕組みです。しかし、フィンランドでは、Mawell社を含む多くのコールセンターは、コールセンター側から利用者へ電話をかけることはなく、各自治体から委託を受け、不特定多数の住民から24時間、電話やメールがかかってくるシステムとなっています。利用料は無料で、電話番号も、日本での「119番」と同じように「112番」と分かりやすく認知度は高いようです。
内容としては、予防医学的な指導、疾病のマネジメント、自宅でのケア等、自立的な生活が送れるように配慮され、ケイタリングサービスのような栄養管理についても事業の拡大を図っています。
シウンティオ福祉センター今回参加している医師の方々に意見を求めると、今後、高齢社会に伴い、病院にも通わず仕事一辺倒でがんばってきた団塊の世代も、加齢に伴い何らかの疾病を発症される人が増えるものと予想される。医療費抑制も目的の一つではあるが、このような患者が、スムーズに適切な診断を受けられるシステムの構築が日本には必要であるということです。
また、高齢者や子供を抱える家庭に対する慢性疾患や薬の副作用についての相談、あるいは、病院や医療事業団への予約などに対するサービスの提供といったことも、日本で取り入れられる可能性は十分にあるということでした。
日本では、コールセンターというシステムがなく、また開業医に一定の専門性が確立されていないため、とにかく検査でも何でもしてくれる中核病院に患者が集まりやすくなっているのが現状です。
カリタスホーム(老人ホーム)一方、フィンランドでは、糖尿病や喘息、心臓病や自殺といった一般的な疾患に対する相談システムが構築されており、どこで治療を受けるのか、またどの程度セルフケアが可能なのか等、自助努力を促すことができるようになっています。
フィンランドの医療・福祉政策は、北欧諸国の例に漏れず世界で最も手厚く完備されているであろうという先入観の下で視察に参加しましたが、必ずしも理想的に運営されているわけではありませんでした。保健・医療・福祉サービスの提供や国民へのアクセス方法の導き方には、感銘を受ける部分が多く感心しましたし、サービスの向上や質の確保の研究・開発など、これから充実してく部分も目に見えましたが、地域の格差の改善については、まだまだ発展途上のように感じました。
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